タークスのリーダーであるツォンとエアリスの関係についての考察です。
神羅カンパニー特殊工作部隊のリーダーであるツォンと、神羅カンパニーから追われる立場だったエアリスには奇妙な絆があります。
神羅カンパニーでは約束の地を探すという過程で古代種であるエアリス達を母子共に管理しており、その確保において活躍したのがタークスという組織です。
少なくともツォンが18歳頃、そしてエアリスが10歳の頃には対面しており実は付き合いの長さという観点から見るとクラウドやザックスを差し置いてツォンが1番長くなります。
ここでは2人の奇妙な関係について考察していきたいと思います。
ツォンの役割
ツォン自身は上層部からの命令によって”エアリスを監視する”という立場にあります。
ですから、幼いころからのエアリスの事をよく知っており、監視する側、理不尽な生活を強いられる側といった通常であれば憎しみが生まれてもおかしくない状況下で奇妙な絆が出来上がっているのです。
エアリスはほとんど外部の人間との接触をする機会がないまま育ちます。身近にいた存在は監視役のツォンだけだったと言っても過言ではありません。
ちなみに後にエアリスの恋人になるザックスともツォンは仲が良かったのです。
エアリスの思い
「ツォンはタークスで敵だけど、子供の頃から知ってる。私、そういう人少ないから…。世界中、ほんの少ししかいない、私のこと知ってる人…」
古代種の神殿でツォンに対する思いを本編で語るエアリスのセリフです。
本当に子供の頃からの自分を知っているツォンに対してある種の肉親のような感情を抱いているのが見え隠れするようにも思えます。
このセリフや幼いエアリスの境遇などを合わせて考えると、ツォンはエアリスの兄のような存在だったのかも知れません。
神羅に捕らわれて外界との接触もなく檻の中で育ったエアリスによって唯一の話相手であり”他人”だったツォン。
もちろん立場としては監視役と監視対象ですが、神羅カンパニーは全員が全員悪人ではありません。
特に、タークスに関してはとにかくルーファウスに忠実な組織でありルーファウスの一存次第では悪にも善にも成り得ます。
しかし、人間である以上は”感情”を消せないのです。
エアリスは確かに組織としての監視対象であり、重要な人物だったのかも知れませんが、任務を離れればツォンから見れば小さい女の子です。親代わりとまでは言わないかもしれませんが、兄や親族に近い感情が芽生えてきても不思議ではないかもしれません。
回想に現れるツォンとエアリスの会話
*ツォン「」 エアリス『』*
ツォン「エアリスを返してほしいのです。随分探しました」
エアリス『いやっ! 絶対いやっ!』
「エアリス、君は大切な子供なんだ。君は特別な血をひいている。君の本当のお母さんの血。『古代種』の血だ。古代種は至上の幸福が約束された土地へ 我々を導いてくれるのです。」
「エアリスはこの貧しいスラムの人々に 幸福を与える事ができるのです。ですから我々神羅カンパニーは ぜひともエアリスの協力を……」
『違うもん! エアリス古代種なんかじゃないもん!』
「でもエアリス、君はときどき誰もいないのに声が聞こえることがあるだろ?」
『そんなことないもん!』
これは義理の母であるエルミナのところへとエアリスを探しにきたツォンとエアリスの会話です。
神羅を抜け出しスラムに居たエアリスに対してもそうですが、エルミナに対してもかなり紳士的な言葉で接しています。
セリフから察するに、タークス達は本当に”約束の地”を信じていた可能性が高いです。タークス全員ではなくとも少なくともツォンに関してはエアリスがスラムを本気で救えると感じているようにも見えます。
当時の神羅はプレジデント神羅とルーファウスが争っていたようにかなり人間関係が複雑です。
大きくなりすぎた組織は統一性を保てずに個々が崩壊しているのでしょう。
実際にアドベントチルドレンではルーファウスは贖罪を口にしますし、タークス達も協力を惜しみません。
こういったことまで踏まえると…
- ツォン・・・エアリスには本当にすべてを救う力があると信じていたが、それを拒否する姿と上層部との命令の間で感情が動いていた。また、エアリスに対しては少し特別な感情を抱いている。
- エアリス・・・ツォンはタークスであり自分を利用しようとしている組織の人間ではあるものの、数少ない本当の自分を知っている他人として、親や兄のような感情を感じていた。
こんな感じになるのではないでしょうか?
以上がツォンとエアリスの奇妙な関係の考察になります。