ファイナルファンタジーシリーズのボスとしてはかなり口数の多いセフィロス。
シナリオ上、英雄から堕ちたという設定に加えて一部のイベントではマテリアの知識やライフストリーム、古代種など星から知識を吸収する以前から博識だったことが伺える場面がいくとも登場します。
セフィロスは星を壊してそのエネルギーを自分の物にしようとしましたが、旅の先々で出会うセフィロスに擬態したジェノバやセフィロス本人は意外にも核心を突いているセリフも多く、ストーリーに深みを持たせていました。
ここではセフィロスが言ったセリフや言葉の裏にある意味を考えてみようと思います。
出生に関するセリフ
『オレには故郷がないから わからないんだ……』
ニブルヘイム事件の直前にクラウドの回想でセフィロスが言った言葉。故郷に帰ってきた気分を聞いてはいますが、じつはハッキリしないセリフでもある。というのも初期においてクラウドの記憶の中ではザックスの記憶が混同しているからです。
このセリフにはセフィロスのバックボーンが表されています。
ルクレツィアの子として生を受けたセフィロスですが、胎児の段階から宝条博士による実験の対象になっていたことで、神羅カンパニーという閉鎖された組織の中でしか生きてきていないのです。
これはある意味古代種であったエアリスの母やエアリス自身にも似通っている部分があります。
特別な存在という孤独感とでも言いましょうか。自分自身が何者なのか?
至る所でセフィロスは自問自答を繰り返しますが、その答えは神羅屋敷にあった宝条博士の研究資料によって大きく捻じ曲げられる訳です。
『……マテリアの中には いわゆる古代種の知識が封じこまれている』
『大地、星の力を自在に操る知識。その知識が星と我々をむすびつけ 魔法を呼び出す……といわれている』
魔晄炉に向かう途中でマテリア(および魔法)について語るセフィロスの言葉。
セフィロスはマテリアが古代種の知識であることを認識しています。
古代種の知識が魔法となり得るという事を知っていたということは、宝条博士によって虐げられている古代種(この段階ではジェノバを古代種として認識しています)を多少なりとも憐れむ気持ちがあったのかも知れません。
堕ちる英雄
『そうだ。モンスターを生み出したのは神羅カンパニーの宝条だ』
『魔晄のエネルギーが創り出す異形の生物。それがモンスターの正体』
これはニブル山の魔晄炉にて行われていた人間を魔晄漬けにしてモンスター化させる宝条の所業を見てクラウドに説明しているところですが。。。
クラウド(ザックス) 『普通のソルジャーって? あんたは違うのか?』
『お、おい、セフィロス!』
セフィロス 『ま、まさか……』『……オレも?』
この会話によってセフィロスの中の点がまさに線に結ばれました。
あまりにも普通ではない自分自身の本当の出生の秘密。
あくまでも勘違いではあるのですが、自分が所属している神羅や宝条博士への強い恨みが生まれた瞬間だと思われます。
ここからセフィロスは神羅屋敷にこもるようになると、後日ニブルヘイムを焼き尽くしてライフストリームへと落ちて行きます。
ガスト博士への思い
『オレの母の名はジェノバ…… ジェノバ・プロジェクト…… これは偶然なのか?』
『ガスト博士……どうして教えてくれなかった? ……どうして死んだ?』
少し時系列が戻りますが、これは神羅屋敷の中で呟いたセリフの1つ。
母の名がジェノバだと説明していたのはあくまでも宝条博士です。
ガスト博士は宝条博士の前任者であり、偉大な研究者の1人でもありました。
セフィロスから見ても宝条博士は明らかにガスト博士には及ばない存在であったのです。
しかし、当のガスト博士はルクレツィアの変貌によって古代種=ジェノバの仮説が明らかに間違いであったことから失踪してしまいます。
この出来事によってセフィロスはさらなる憶測を測する事しか出来なくなってしまいます。
星とセトラ
『この星はもともとセトラのものだった。セトラは旅をする民族。旅をして、星を開き、そしてまた旅……』
『つらく、きびしい旅の果てに 約束の地を知り、至上の幸福を見つける』
『だが、旅を嫌う者たちが現れた。その者は旅することをやめ、家を持ち、安楽な生活を選んだ』
『セトラと星が生み出したものをうばい 何も返そうとしない』
『それがおまえたちの祖先だ』
このセリフも同じく宝条博士の資料を見てから発言したものですが、セフィロスの言葉には重大な星の成り立ちが隠れています。
セトラ=古代種という人間とは違う種族が元々統治していたものの、過去にその種族の中で旅をしなくなったものが現れた。
これはつまり人間もまた力を失ったセトラの末裔である可能性を示唆しているのです。
実際にはこの後に続くセリフでジェノバ=古代種であるという認識をもう一度してしまっているので、FF7の人間がどこから生まれたのかという正確な情報は判断出来ません。
しかし、少なくとも過去の厄災(本当はこっちがジェノバ)とセトラの犠牲によって現在の文明が成り立っているというところは的確に言い当てています。
セフィロスの凶悪なセリフの数々
ニブルヘイム事件によってライフストリームからさらなる知識を得たセフィロスはこの後のセリフがどんどんと凶悪になっていきます。
『お前への贈り物を考えていた。絶望を贈ろうか?』
『お前の最も大切な物は。。。それを奪う喜びをくれないか?』
作中ではクラウドに対して操り人形だのなんだのと言っていますが、アドベントチルドレンで復活したセリフではまさに狂気の匂いが漂っています。。
『私は思い出にはならないさ』
決着の際にセフィロスが言い放ったセリフ。
アドベントチルドレンではあまり数の多くないセフィロスのセリフですが、この言葉がやけに重く感じてしまいます。
思い出にはならないから消えるだけなのか?
クラウドもまた亡くなったあとはライフストリームになり、そこで待っているという意味なのか。。。?
いずれにせよ非常に闇の深いセフィロスのセリフです。
個人的には派生作品につなげる予定だったのかな?などと感じてしまいますが、こういった詳細な部分も
FF7リメイクではさらに掘り下げて欲しいポイントですね(´・ω・`)