FF7のクラウドと言えば
クール、鈍感、照れ屋と様々な面を見せてくれる主人公キャラクターですが、そもそもキャラが掴みにくいといった感覚があります。
やはりこれはクラウドとザックスの記憶の混同によるものが原因の大きな部分を占めているとは思うのですが、公式の設定としては”記憶の部分”はザックスと混同しているものの、性格に関してはそもそものクラウドからそこまで大きく変わらないようです。
キャラクター分析と言えばちょっと大げさですが、ここではそんなクラウドが作中で話したセリフから個人的に感じたことをシナリオのおさらいとして考えてみようかなと思います。
実は奥手なクラウドの人物像
『・・・・ナントカ』
上記のセリフはゴールドソーサーの好感度イベントでユフィにキスをされたクラウドがユフィに急かされるように喋ったセリフ。
FF5のバッツに負けないくらいのモテ男っぷりを発揮するクラウドだが、その奥手さ、鈍感さはFFシリーズでも屈指の上位キャラだと言えるだろう。
例えばFF10のティーダなどは17歳という若さにも関わらず、ヒロインのユウナとは完全にカップル成立し、イベントではキスシーンまで用意されている。
そいれに比べてクラウドはFF7の時に21歳である。
しかし、よくよく考えてみるとクラウドは本編の直前までの青春時代を宝条博士によって監禁され、しかも人体実験の対象になってしまっていた。
ニブルヘイム事件が発生したのは本編からおよそ5年前にあたるので、クラウドは16歳で故郷に帰ってから事件後は外界と接触すら持てていない。
つまり、クラウドの恋愛精神年齢はティーダよりも歳下の16歳くらいで止まっている可能性が高いのである。
他にも、ティファやエアリスから結構な勢いで迫られることの多いクラウドではあるが、その度にドギマギした返しが多い。
”素”のクラウドを表す代名詞と言えば
『興味ないね』
作中で何度も言うセリフ。
アドベントチルドレンでもルーファウスを前に言うあたり、制作側がクラウドの代表的なセリフとして押しているようにも感じられる。
クラウドはとにかく、人と関わるのがあまり好きではない。
だから、何か問題に直面したり、自分が巻き込まれそうになると最初の方はだいたい『興味ないね』といって関わろうとしない。
しかし、興味ないねと言いながらもしっかり手伝ってしまう辺りがクラウドらしいところでもある。
この辺りはまだ、ザックスの記憶である”元ソルジャー”というプライドなのか、強気のセリフが出ることが多い。
面白いことにザックスとクラウドの素を比べると、見事なまでに反対な性格であったりもする。
女好きで社交的なザックスと寡黙というか鈍感であまり人と関わろうとしないクラウド。
ザックスがクラウドを可愛がったのにはこの辺りの不器用さを心配したからかもしれない。
感情を表に出すクラウド
「エアリスはもうしゃべらない・・・もう笑わない、泣かない、怒らない。
おれたちは・・・どうしたらいい?この痛みをどうしたらいい!?
指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。目の奥が熱いんだ!」
エアリスを失った時に初めて大きな感情を表に出すクラウドのセリフ。
ストーリー上の問題があるとは言えど、それまで天然を通り越してちょっとおかしなセリフを連発していたクラウドが初めて他人に関して感情を揺り動かされる。
それほどまでにエアリスという存在がクラウドの中では大きくなっていたということだろう。
このセリフが表すように
『どうしたらいい』か分からなくなったクラウドは本編でセフィロスとの決着を終えた2年後の生活でも
エアリスやザックスに対しての責任を感じてしまうことになる。
テキスト時代ゆえに面白い
FF7が発売された当初はまだ、プレイステーションも初代。当時としては最新のハードではあったものの、そこからFF10までのファイナルファンタジーではフルボイスという概念がない。
アクターが付いていないというのが良いか悪いかは別にしても、クラウドという人物像はテキストメッセージの時代だったからこそ、浮き上がってきたと言っても過言ではない。
例えば海底魔晄炉では・・・
『神羅のイヌめ!おまえをイヌ質にしてやる!これで戦闘員も手を出せまい……』
なんていうセリフがあるが、これをクラウドに合わせてアクターさんが喋っていたら
どう考えても違和感しか浮かんでこない。
クラウドをクラウド足らしめたのはテキストメッセージというアナログなシステムだったからこそだという一面が確実に影響している。
問題はFF7リメイクではおそらく行われるであろうボイスの収録である。
クラウドというキャラクターは既にある程度固まってしまっている。
これを壊さず、さらにFF7という作品の面白い部分をどこまで作り込めるかというのはリメイクの評価に大きく影響するかもしれない。。